ずっと気になっていたことをついに調べました!!

それは、こちらです。
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レンジでおいしい蒸し鶏を作るには、何分加熱したらいいのか

私、よだれ鶏が大好きでして。
あと夏にはバンバンジーも欠かせない。

蒸し鶏・サラダチキン・茹で鶏 など
鶏むね肉をしっとり仕上げるレシピは調べれば無限に出てくるですが
レンジ・茹で・蒸し焼きなどの調理法から、その加熱時間、加熱方法まで
まぁぁぁぁ~、たくさんありすぎる。
どれを信じてよいのか、分からない。

いわゆる【低温調理】なるもので、ぷるんぷるんの仕上がりの鶏肉も見かけますが
本当に加熱できてるのか?!と、ぜんっぜん信用ならない。

ということで、私の中の正解を導き出すために…IMG_9783
先日のAmazonプライムデーに温度計を購入しまして。
中心温度を測りながらあれこれ試してみました。

今回は一番手軽で需要があるかな、という点で【レンジ加熱】に絞って検証しています。
合計鶏むね肉10枚…w この価格高騰の中で。むね肉でヨカッタと心底思ったよね。
もちろん一度には食べきれないから、先月から3日間に分けながら少しずつ調べていきました。

※鶏肉のカンピロバクターによる食中毒を防ぐには、中心温度が75℃以上1分以上の加熱が必要です。完成後すぐに温度を測り、この温度をクリアしつつ 加熱しすぎ・パサつきを防ぐ加熱時間を調べました。
参考:肉を低温で安全においしく調理するコツをお教えします!,食品安全委員会,閲覧日(2023/10/23)
https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/shokuhniku_teionchouri.html



最終レシピにたどり着くまで、少々長くなりますがお付き合いください。
細かな理由は知らなくてOK!とにかくレシピが知りたい方はスクロールしてください。

<目次>
①鶏肉の重量
②厚み問題
③肉を常温に戻す必要は?
④下味の調整
⑤裏返しの有無
⑥加熱時間
⑦最終レシピ
⑧ポイントまとめ



①鶏肉の重量
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まず初めに、レンジ調理の場合は材料の重さによって加熱時間が比例します。
材料の重さが増えればその分加熱時間も増やす必要があるので、検証のためには重量を固定する必要があります。

鶏むね肉1枚、だいたい何gでしょうか。
スーパーで見かけるのは、300~400g程度が多い印象でした。

大人2人分(わが家では大人2人、幼児2人)
ほぐしてサラダや和え物に加えるには、100~150gで十分ですし
よだれ鶏やバンバンジーなどでメインで使う場合も、300gあればかなりボリュームがあります。
からあげにするには、400gくらいほしいけどね…不思議

ということで、鶏むね肉1枚(300g)で設定しました。
※皮の有り無しはお好みで。ただし、皮なしの場合は、皮を剥いだ状態で300gをご用意ください。
重量は購入時に記載されていることがほとんどかと思いますので、お確かめください。
10g前後の誤差は許容範囲です。

②厚み問題
鶏むね肉特有の形。逆三角形というのでしょうか。
上部のこのへん!伝わるかな…
 ↓
 ▼
特に厚みがあるんですよね。
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初回、とりあえず何も考えずにレンジに入れて6分加熱したんです。
100gあたり2分計算ですので、比較的火は通りやすいはず…
なんですが、一番分厚い部分が生焼け。もちろん端っこの部分はパッサパサです。

参考図書:前田量子.ロジカル電子レンジ調理.主婦の友社.2022
マイクロ波が食品に浸透する深さは2.5cmほど。
5cm以上の塊肉(チャーシューなど)は、100gあたり2分30秒加熱の計算、途中で裏返すのがよい。


確かに一番分厚い部分は5㎝くらいはあるかも。
裏返しもせず、加熱したところで火は通りません。
レンジで均一に、そして短時間でムラなく火を通すには厚みは均一に、薄い部分に合わせて2~2.5㎝とするのが良さそうです。


③肉を常温に戻す必要は?

ステーキなどを焼く際によく聞くフレーズですよね。
肉の外側と内側の温度差をなくし、均等に火が通るようにするために行います。 
そもそも常温って何℃?というところからですが、
一般的には室温である15~25℃くらいを指すようです。
「冷蔵庫からだして30分放置」なんてレシピもありましたが、生の鶏肉を30分放置するのは少し気が引けます。

冷蔵庫から出したばかりの鶏肉、中心温度は5℃でした。
結構冷たい…!
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そのまま、10分放置。
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中心温度は8℃、厚みがあるせいか思ったほど上がりません。
15分放置しても、10℃以上にはなりませんでした。
画像ではありませんが…分厚い部分に刺すほど温度が低く、表面との温度差があることが分かりました。

一方で、冷蔵庫から出したての鶏肉。
厚みを均一にしてその後下味を揉みこみます。
その時の中心温度はすでに12℃!
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手の温度が伝わったのでしょうか。
下味をなじませるために、ここから10分置きました。
すると15℃に。
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同じ15分間でも、厚みを均一にし下味を揉みこむ工程が加わると温度が上がりやすく
また外側と内側の温度差も少なくなります。

厚みを均一にする
下味をつける

この工程は蒸し鶏には必要ですので、
あらかじめ常温に戻す必要はなく、鶏肉を開いて下味をつけた後10分置く。
という工程にたどり着きました。

④下味の調整
基本的な下味は、塩・砂糖・酒
・塩の分量
・砂糖のありなし
今回はこの2点で調整を行いました。

・塩の分量
栄養士目線ですと材料の重さに対して1%前後の塩分が「おいしい」と感じる塩分量です。
鶏肉300gに対しては、小さじ1/2、3gが適量と言えます。
・・・が、そのまま食べるよりサラダや和え物、追加でタレをつけるとなるとここは控えたいところ。
その後の調理を加味した程よい塩味、調理のしやすさから
鶏むね肉300gに対して 塩:小さじ1/4(1.5g)としました。

・砂糖のありなし
下味というと塩や塩こしょう、のイメージが強いですが
砂糖は必要でしょうか…?
砂糖に保湿効果(肉を柔らかくする効果)があるというのはよく知られていますよね。
実際に同条件で砂糖のありなしを比べたところ、砂糖ありの方がやわらかくさらにうま味も強く感じました。社内スタッフ3名で実食

結果、下味は鶏むね肉300gに対して
塩:小さじ1/4(1.5g)
砂糖:小さじ1(3g)
酒:大さじ1(15g)
に着地。
酒の分量、砂糖の量は今までの経験と何度か微調整した結果です。

⑤裏返しの有無
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同条件で、加熱時間の半分で裏返した場合と、裏返さない場合を食べ比べました。
こちらは正直…かなりの僅差ですが裏返した方が柔らかいような…思い込みかもしれませんが…。。。
加熱ムラを防ぐ、だれでも失敗しないレシピに…という点で途中で裏返す方が安全かなという判断です。

⑥加熱時間
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さて、一番重要な加熱時間ですが、ここまでの検証をしながら調整をしていきました。
はじめは100gあたり2分として、600Wで合計6分(表裏3分ずつ)
食中毒予防のため、中心温度75℃以上1分以上を確認していますが、90℃越えが続きます。
安全ですが、もちろんパサパサ感が強い。
加熱しすぎ、ということです。

そこから5分、4分30秒、4分と少しずつ短くしていきました。
ちなみに少しでもじっくり加熱したほうが柔らかいかな?と思って
合計4分の際、600Wと500W(ワット数換算にて1.2倍時間)で試しましたが
なんとなく500Wの方が柔らかいかな?という僅差だったため、より一般的な600Wでレシピを進めました。



最終的に着地したのが、600W合計4分(表裏2分ずつ)です。
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中心温度は85℃まで上がっており、中までしっかりと加熱されています。
しっとり柔らかさも、いい感じ。

もう少し短くてもいいかな?と思い、合計3分30秒(表2分、裏1分30秒)でも試してみました。
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2cm厚さ、80℃でクリア!柔らかさもかなりいい感じです。

3分30秒でもイケる!
とも思ったのですが、念のためすこし分厚くしてみて厚み2.5㎝~3cmで試したところ76℃でギリギリ~!
スクリーンショット (73)
もちろん、この場合はクリアしているので安全と言い切りたいところですが。
0.5㎝厚みの変化により、このように温度がギリギリになってしまうということは、重量や加熱前の肉の温度、耐熱皿の種類…など、その他条件が少しでも異なれば75℃以下で仕上がってしまう可能性が高いな…と。

ギリギリを攻めるなら合計3分30秒ですが、より安全性を重視した合計4分でレシピとすることにします。
温度計をおもちで、ぜひ攻めたい方は3分30秒でお試しください!


・・・ということで、長くなりましたが
⑦最終レシピです^^
【レンジでしっとり蒸し鶏】
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材料:鶏むね肉1枚分(300g)
****************
鶏むね肉:1枚(300g)
【A】塩:小さじ1/4(1.5g)
【A】砂糖:小さじ1(3g)
酒:大さじ1(15g)
****************

鶏むね肉は1枚、300gのものをご用意ください。
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・10g前後は許容範囲です。
・皮の有無は調理の際の重量に加味してください。有り無しはお好みです。



①鶏肉は厚みのある部分に包丁で切り込みを入れて(観音開き)、厚さを2cm程度にする。

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レンジ加熱の場合は特に厚みを均一にすることで加熱ムラを防ぐことが出来ます。
厚さのある部分(画像では手前)を中心に包丁で切込みを入れて、厚さは2cmを目安、2.5㎝未満にしてください。

耐熱皿にのせ、A (塩小さじ1/4、砂糖小さじ1)をつやが出るまでよく揉みこみ、酒をまぶして馴染ませて10分ほどおく。
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鶏肉を開き、下味後さらに10分置くことで肉が常温に戻り(中心温度約15℃)、加熱ムラを防ぎます。

皮目を上にして、ふんわりとラップをかけて、600Wの電子レンジで2分加熱をする。
フォークなどを使って裏返し、同様に2分加熱をする。
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裏返す時点では、まだ生の部分があります。
皮付きの場合は、皮目を上にしてよく広げてから加熱をすると仕上がりがきれいです。

10分ほどおいて粗熱を取り、食べやすい大きさに切り分ける。
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加熱を終了した時点で75℃以上1分以上加熱されています。10分置くのは余熱で火を通す目的ではなく加熱直後は熱いすぎて触れないため、粗熱を取る工程として加えています。

【アレンジ】
・ほぐしてサラダやバンバンジーに。
・にらダレをかけてよだれ鶏として。
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<にらダレ>
にら(みじん切り):1/3束(30g)
砂糖:大さじ1/2
しょうゆ・酢・ごま油・蒸し鶏の煮汁:各大さじ1
白ごま:適量
これ、サイコーです^^

★ポイント★
※鶏肉のカンピロバクターによる食中毒を防ぐには、中心温度が75℃以上1分以上の加熱が必要です。
必ず各ポイントを守り、安全に調理しましょう。
・鶏肉の重量は300g(前後10gであればOK)を基準としています。
・鶏肉は厚みを均一にすることで加熱ムラを防ぎます。厚さは2cmを目安、2.5㎝未満をお守りください。
・鶏肉を開き、下味後さらに10分置くことで肉が常温に戻り(中心温度約15℃)、加熱ムラを防ぎます。
・重量や厚み、下味後の置き時間などが守れれば、2回目の加熱時間は1分30秒(合計3分30秒)でも中心まで火が通りよりやわらかく仕上がります。しかし、より安全性を高めるため、2分(合計4分)としました。
・衛生管理に絶対はありません。レンジや耐熱皿の種類によっては中まで火が通っているか確認しながら、必要に応じて調理時間などを調整してください。もちろん、鶏肉は新鮮なものをご使用ください。

・蒸し鶏はその後調理をする前提で味付けをしています。サラダチキンなどとしてそのままお召し上がる場合は塩を小さじ1/3~1/2にお好みで増量してください。

****************

3歳次男でも余裕で噛み切れましたよ^^
長い道のりでしたが、簡単でおいしい、安全な蒸し鶏ができて大満足です。

次回は蒸し鶏を使った簡単サラダをご紹介します!!


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管理栄養士  藤原朋未